3.第1回 台州市E-waste分解業関連者を対象とした無料健康検査
2008年4月20日と27日の2日間、台州市W鎮において、自主的に健康検査に来た村の人たちに対して二次検査を行った。
1)アンケート及び一次検査の流れ
2008年4月20日、A医学院教師2人と学生12人、B中学校教師2人と学生9人によるボランティアチームが、W鎮のN村にて、健康検査を実施した。学生たちは六つの村にてアンケート調査を行い、医学院の教師と学生たちは、血圧検査・聴診などを行ったり、無料検査証を配ったりした。当日、134人に対してアンケート調査を行ったが、回答者の最小年齢は8歳、最高年齢は90歳だった。
2008年4月21日〜27日の間、宣伝バナーなどを通じて、W鎮各村の人びとに4月27日に現地の病院での無料検査の受診を呼びかけた。
4月27日、C病院の内科、外科、産婦人科、小児科などの医師16人が、現地病院で無料検査を行った。当日は、約300人に対して健康コンサルティングを行い、条件に合う人約100人に対して、健康検査を行った。具体的には、73人が総合検査、66人がカラー超音波、50人が心電図、15人がレントゲン、50人が血液検査、54人が尿検査、54人が自動分析装置(オートアナライザー)による検査を受け、全ての検査結果は、すでに4月末に個人に知らせした。検査を受けた人の中、最小年齢者は26歳で、最高年齢者は87歳だった。
2)アンケートの調査及び一次健康検査の結果
人口1400人のN村の約10%に当たる134人に対してアンケート調査を行い、表1のような結果が出た。
表1 N村アンケート調査
年齢 |
人数 |
性別 |
居住 状況 |
分解作業従事年数 |
自ら訴えた症状 |
|||||
性別 |
人数 |
元 |
外 |
〜3年 |
3〜5年 |
5年〜 |
非関係者 |
|||
〜10 |
2 |
男 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
女 |
2 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
|
||
10〜19 |
4 |
男 |
2 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
|
女 |
2 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
胃病1 |
||
20〜29 |
2 |
男 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
B型肝炎持続感染者1、栄養失調1 |
女 |
1 |
1 |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
|
||
30〜39 |
13 |
男 |
5 |
5 |
0 |
0 |
1 |
0 |
4 |
鼻血1、胃腸病1、風邪1、低血圧2 |
女 |
8 |
8 |
0 |
2 |
2 |
1 |
3 |
乳がん1、腰痛1 |
||
40〜49 |
23 |
男 |
14 |
12 |
2 |
2 |
1 |
7 |
4 |
低血3、胃病3、頭痛3、腰痛2、動悸1、胃病1 |
女 |
9 |
7 |
2 |
1 |
2 |
2 |
4 |
肝臓病1、胃病2、目の違和感1、腫瘍1、関節炎1、脊椎1、高血圧1、 |
||
50〜59 |
23 |
男 |
8 |
8 |
0 |
0 |
0 |
3 |
5 |
胃病2、椎骨・肩の痛み1、胆石病1、高コレステロール血症1 |
女 |
15 |
13 |
2 |
1 |
1 |
4 |
9 |
胃病2、胆嚢炎1、高血圧2、高コレステロール血症1、めまい1、甲状腺機能亢進症1、吐血1、全身の痛み1、腰痛1 |
||
60〜69 |
17 |
男 |
6 |
5 |
1 |
1 |
0 |
2 |
3 |
風邪を引きやすい1、めまい1、頚椎症2、高血圧1、変形性関節炎1 |
女 |
11 |
11 |
0 |
2 |
1 |
6 |
2 |
肝臓病1、痛風1、高血圧2、変形性関節炎1、胃病1、腰痛2、椎骨・背の痛み1 |
||
70〜79 |
12 |
男 |
4 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
脳卒中1、肩周炎1、関節炎1、歯炎1、高血圧1 |
女 |
8 |
8 |
0 |
0 |
0 |
1 |
7 |
顔腫瘍1、胃病1、リューマチ1、高血圧2、腰痛1、関節炎1 |
||
80〜89 |
6 |
男 |
2 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
心臓病1、気管支炎1、高血圧1 |
女 |
4 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
心臓病2、腰痛1 |
||
90〜 |
1 |
男 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
記入なし |
合計 |
103 |
男 |
43 |
40 |
3 |
3 |
2 |
13 |
25 |
|
女 |
60 |
56 |
4 |
7 |
6 |
14 |
33 |
|
||
記入無 |
31 |
|
|
30 |
1 |
3 |
3 |
8 |
17 |
卒倒1、尿路感染症1、腰痛6、風邪1、頭痛1、咽喉頭炎1、椎間板ヘルニア1、高血圧2、肩周炎1 |
N村の人びとは10年前から電子廃棄物(主に基板)の分解作業に携わっていた。今回のアンケート回答者134人の中には直接分解作業に携わっている人が59人(現地51人、外部の民工8人)で、全体回答者の44%を占めた。中に、5年以上従事している人が35人で、全体回答者の26%を、分解作業に関わる全員の59%を占める。
今回アンケートにより、風下に位置する地域のほうが被害が大きい印象を受けた。よく訴える病状は、頭痛、めまい、かぜの引きやすさ、腰痛及び胃病であった。